2018年12月12日

「いや私、既に1人なんですけど」という方へ

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レスパイトハウスは、普段の生活や家族から数日間だけでも一人きりになってリトリートできる場を提供したい、というものです。しかし、身近な人が自死で亡くなり、今は一人きりになってしまった、という方もいらっしゃいます。お問い合わせの中には「夫が亡くなったので、一人きりなのですが、レスパイトハウスは利用できますか?」というものや「家を離れていた大学生の子どもが亡くなり、元々自分は一人で家にいる」という方からのお声もいただいています。

そういう方ももちろん、レスパイトハウスをご利用いただきたいと思います。
前回の記事にも書きましたが、一人になりたい時に使っていただきたいのと同時に、場所を変えて休息してみる、ということの効用も期待しているからです。

故人との思い出を、自然の中でゆったりと思い返すのも良いですし、自分のこれからの事を考えてみるのも良いです。まずは少し、いつもの空間から離れてみてほしいと思います。

同じ場所で頑張ることももちろん素晴らしいことですが、たまには休憩してみると、また新たな力が湧いてくるかもしれません。





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2018年12月11日

「家族をおいて旅行なんて行けるわけないじゃん」と思っている方へ。

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「そんな場所があったら行ってみたい。でも、夫や同居の親や子ども達の面倒を誰が見てくれるわけ?行けるのはゆとりのある一部の人だけなんじゃないの?」

レスパイトハウスについての記事やホームページをご覧になった方の中には、こんな事を思った人がいるのではないでしょうか。

実は私が一番、そう思っていました。
我が子が1人亡くなっても、他にまだ2人の子どもがいる。夫もいる。家族のために自分が今まで通りの生活を維持していかないと。

そう思って、我が子の死の原因を教育行政に追求しながら、調査委員会の要望をしながら、我が子が亡くなる前から取り組んでいたボランティア活動をしながら、仕事をしながら、1人欠けた家族を必死で維持しようとしてきました。

家族が1人欠けたという出来事以外、何も変わらない、そう思いたかったからです。

でも家族が1人欠けるという事が、実際には遺された家族にどれほどの衝撃を与えることか。
誰もが、立っていられないほどに足元が揺らぎ、足を踏ん張れば崩れそうな、つまりは何をしても危険な状態になるのだと、次第にわかってきました。

遺された家族の在り方は様々だと思います。
お互いに不安定な精神状態のせいで衝突し合いギスギスしてしまうご家族もあるでしょうし、反対に家族を心配しあい、自分の不安を絶対に家族に見せず表向き平和だけれど、言いたいことも言えなくなっているご家族もあるでしょう。

どちらも、ごく当たり前の遺族達の反応です。

そんな中、一人だけ旅行に行くなんて、想像もできない方が多いかもしれません。

でも我が子を亡くして7年半経った私が思うのは、当時、本当に辛い時に少しでも一人になれる時間が持てたら、という事なのです。
もちろんそうではない方も多いでしょうから一概には言えませんが、煮詰まった時には誰でも少し環境を変えてみることは有効ですよね。

では、「一人で旅行なんてできるわけがない。家族のご飯は誰がつくるの?誰が子どもの面倒を見るの?」という方へのご提案ですが、
いくつか方法を上げます。
1)夫に、「私が入院したと思って3日間、休みをください。」と勇気を出して言う。または親にお願いする。
2)夫も親も、頼れる大人がいない等、お母さんが1人で頑張っている方は、子どもさんと一緒にハウスに来る。

自分が倒れたら、家族が困る、ということは自明の理なので、1)は家族を守るためにも頑張って言って欲しいところです。
(夫が妻を気遣い「ちょっと行って来たら?こっちは数日間心配しないで」と言ってくれたら、こんなありがたいことはないのですが)

2)は、本当は家族から離れて休養してもらえたら、と思っていますが、ずっとお一人で頑張ってこられているお母さんは、お子さんを連れてきてください。こちらでお子さんを預かります。お子さんが退屈しないよう面倒を見てくれる人を確保します。お母さんは1人で過ごしてください。


さて、1)も2)も、どちらも「自分が辛いので休養したい」ということを言わなければならない。自分は絶対に、そんな事を言って家族を心配させたくない!と思っている方は(実は私はそうです)、「レスパイトハウスと言うところで、人手が足りなくて、同じ遺族の手伝いがどうしても必要と言うので、手伝いに行かせてください」と、自分が手伝いに行くということにしてしまうという方法はいかがでしょうか。

他にも、「こんな方法があるよ」というアイデアがあればぜひご教授いただければ幸いです。

カナリアハートのHP⇒ https://canariaheart.org/

※次回は「家族を亡くして、1人っきりになってしまった方へ」についてお話します。







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